丹田呼吸法の系譜

 明治の末、藤田霊斎という真言宗のお坊さんが、東洋の伝統として伝わる丹田呼吸法を、「調和道丹田呼吸法」としてわかりやすく集大成しました。 この藤田霊斎に至るまでの、丹田呼吸法の系譜を簡単に述べたいと思います。

① 《釈迦》
 お釈迦様が、菩提樹の下で坐禅をして悟り開いたときの体験を伝える経典として『大安般守意経』があります。心を込めて呼吸をすることのすすめです。
②《智顗》
 釈迦の生まれ変わりと言われた、6世紀中国で活躍した天台宗の開祖智顗の言葉をまとめた『天台小止観』に、次のように書かれています。
・心を身体の下部(丹田)に沈める。
・リラックスする。
・気が全身の毛穴からスムーズに出入りしているようにイメージする。
③《白隠禅師》 江戸時代の禅の名僧です。その著『夜船閑話』には、丹田が充実したひょうたんのようなお腹をつくって、身心を健康にする方法が説かれています。
④《藤田霊斎》 ①~③を参考にして、具体的な実修法を組織しました。「胸入・腹満・漏気・充実・膨満・緊縮」という六原則から成る完全息です。これによって、曰く言い難しとされた丹田呼吸法が、誰でも実修できるようになったのです。

 これらはみな、後世に是非伝えていきたい文化遺産です。
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呼吸は界面活性剤

 水と油は互いになじまずに分離してしまう性質を持っています。酢とオイルを混ぜたサラダドレッシングが分離してしまうのはその一例です。
 このドレッシングに卵の黄身を混ぜると、酢とオイルが融け合ってマヨネーズになります。 卵の黄身が界面活性剤のはたらきをするからです。

 瞑想をするとき、身体と心を統一することが必要です。「体ここに在れども心ここに在らず」では、雑念や妄想にさいなまれて瞑想になりません。しかし、雑念や妄想は取り除こうと決心しても思うようにいきません。そう思うほど雑念妄想はからみついてきます。

 身体と心を統一させるための界面活性剤は呼吸です。ひと息ひと息に心を傾けていると、身心が統一してきて瞑想が深まります。
 坐禅の実践に当たって、「調身・調息・調心」ということを教えられます。調身と調心の間に調息があるところに、呼吸のはたらきが表わされています。呼吸には、身体と心を結ぶ界面活性剤としてのはたらきがあるからです。
 
 釈尊も、坐禅のために呼吸が大切であることを説いています。それは「大安般守意経」という経典にまとめられています。
 坐禅や瞑想に限らず呼吸を調えることは、あらゆる面でのパフォーマンスを向上させる力を持っています。呼吸には、身体と心の間を取り持つだけでなく、自分と環境を融合させる、界面活性剤としてのはたらきがあるからです。
 

浩然の気を養う

 6月1日から3日間、北海道洞爺湖に行ってきました。
 まだ新緑の森には、ウグイス、カッコウ、ハルゼミなどが鳴きかわしていました。そんな環境から紺碧の洞爺湖を見下ろすと、孟子の言う「浩然の気を養う」とはこのことかと思いました。
 それは 『孟子(公孫丑上篇)』にあります。

 我れ善くわが浩然(こうぜん)の気を養う。あえて問う。何をか浩然の気と謂(い)う。曰く、言い難き。其(そ)の気たるや、至大至剛(しだいしごう)。直をもって養いて害するなければ、則ち天地の間に塞(ふさ)がる。     

 弟子の公孫丑に、「修行のために何をしたらよいのでしょうか?」と問われた孟子は、「私は浩然の気を養う」と答えました。
 すると公孫丑は、「では浩然の気とは何ですか?」と問うと、「それは言葉では言い難い。限りなく広大で限りなく強靭なものである。正直な心を養って執着することが無ければ、天地いっぱいに広がるものだ。」と答えました。
  『孟子』は、中国の儒学者孟子(紀元前372?~紀元前289)の言葉をまとめた書物です。儒教を「孔孟の教え」と言うように、孔子に次ぐ儒教の重要な人物が孟子です。孔子が聖人と言われ、孟子は亜聖(あせい)と呼ばれています。

 ところで、わざわざ郊外に出かけなくても浩然の気を養う方法があります。それは丹田呼吸法を一心に実修することです。常に生命エネルギーを供給して下さる宇宙に向かって感謝の呼気をするならば、だれでも天地の間に塞がる「浩然の気」を実感することが出来るのです。
 

心の重荷を下ろすには

クリスチャンでなくても、次の讃美歌は、結婚式などで聞いたことがある人は多いと思います。

 いつくしみ深き友なるイエスは 
 罪とが憂いを取り去り給う
 心の嘆きを包まず述べて
 などかは下ろさぬ負える重荷を

          (讃美歌312番)

 私たちはとかく、必要以上に自分を意識して力み、余計な重荷を背負いこんでしまっています。
 今背負っている荷物だけでも十分に重いのに、過去の後悔という重荷を背負い、さらに未来の不安という重荷まで背負い込んでいます。そんな弱くて不完全な自分をありのままにさらけ出すことができず、肩に食い込む重荷をなかなか下ろせないのです。イエス様は、「何でその重い荷物を下ろさないの?」といぶかっているのです。

 野口体操の創始者である野口三千三氏は、信じるとは、「負けて、参って、任せて、待つ」ことであると言っています。言い換えれば、信ずるとは全てを手放す勇気です。
 また、道元禅師に「放てば手に満てり」という言葉があります。握りしめた手を開いてこそ無限の恵みが頂けるのです。
 
 実際問題、負える重荷を下ろそうと思っても、なかなか下ろせないですね。心というものは、自分のものであっても自由にならないものなんです。その心をコントロールするには呼吸がいいんです。丹田呼吸を続けていると、余計な力みが消えて、自然に重荷が下ろせるようになります。
 息という字は自らの心と書くように、自分の心は呼吸でコントロールできるのです。

しんかの道

1.進化
人生の目的は進化すること。 いのちとは進化活動である。

2.深化
「己の立てる所を深く掘れ。そこには必ず泉あらん(高山樗牛)」

3.新化
 今日という日は誰にとっても初体験。貴重な新しい一日として生きよう。

4.真化
 常に真理を目指す

5.浸化
 ゆっくり着実に、理想を浸透させていく弛まぬ努力。

6.信化
 信念は成就する。

7.親化
 幸福は対立からは生まれない。親しむ心から生まれる。

8.清化
 水は三寸流れると清まる。いのちもはたらきの中で清まっていく。
 
9.神化
 宇宙根源(いのち、神)の経綸につながる事が究極の目的。
プロフィール

鈴木光彌

Author:鈴木光彌
1943年(昭和18)東京都葛飾区水元に生まれる
法政大学法学部卒
在学中は応援団に所属し、副団長を務める
今も、人々に生きる勇気と喜びを鼓吹する応援団を任じている
昭和55年、公益社団法人調和道協会に入会し、丹田呼吸法を学ぶ
以来研鑚を重ね、現在養根塾を主宰して活動中
著書:「丹田湧気法入門」柏樹社(共著)、「丹田を創る呼吸法」BABジャパン、「丹田を創って『腹の人』になる」小学館、「藤田霊斎 丹田呼吸法」佼成出版社

【養根塾】
◇会場: 高輪アンナ会館
東京都港区高輪2-1-13
都営浅草線 泉岳寺駅A2口徒歩5分
◇日時:毎週火 1:00~3:00PM
◇会費:1000円/1回
自由ヶ丘教室 第2・4金 10:30AM
若葉教室 毎週金 6:00PMも併設
お問合せ 090-5405-4763 鈴木

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