FC2ブログ

ストレスと感謝

 ストレスという言葉を世に広めたのは、カナダの生理学者、ハンス・セリエ(1907~1982)です。
 治療の難しい病気というと、ストレスが原因、ないしは遠因となっているものが多くを占めているという考え方が、セリエによって広く普及されました。
 そのハンス・セリエは、「現代のストレスの救いは、東洋の感謝と知足の原理である。」という言葉を残しています。ダンディーで有名だったセリエ博士からこんな言葉が聞かれるのは意外に思います。
 
 調和道丹田呼吸法の実修は、「反省と感謝」で終わります。それは、「静かに波浪息をなし、上虚下実の姿勢となって、丹田に気力を充たし、丹田にて深く深く反省し感謝する」とし、その場合に、「予め、反省と感謝の句を定めて、腹のドン底で腹唱するように」することで心を落ち着け、ひいては身体の健康をもたらすのであると、霊斎師は説いています(『国民身心改造の原理と方法』)。
 ハンス・セリエ博士と藤田霊斎師が、軌を一にした言葉を発しているのは大変興味深いことです。 
スポンサーサイト



リラックスの秘法「小波浪息」

 前回で述べた「おいあくま」つまり、「怒る、威張る、あせる、くさる、まける」はいずれも、ストレスをもたらす感情です。言い換えますと、「イライラ、クヨクヨ、ビクビク」の状態です。
 意志の力でこの状態から抜け出すことはできません。調和道丹田呼吸法の創始者である藤田霊斎師は、「上虚下実」の姿勢を創ることが心のコントロールに有効であると言いました。上半身をリラックスさせ、丹田を中心に下半身を充実させる姿勢です。

 そして、「上虚下実」の姿勢づくりの簡単な方法として、小波浪息を提唱しました。その小波浪息の方法を紹介したいと思います。

 まず正座でも椅子でもかまいませんが、腰をキッチリとたてて、肩や胸の力を抜いてすわります。特にミゾオチのあたりを緩めてユッタリとさせます。
 そこからミゾオチとおヘソを少し近づけながら5・6秒かけて息を吐きます。状態は少し前かがみになります。次に、ミゾオチとおヘソの間を伸ばすようにして3秒ほどで息を吸います。
 「呼主吸従」ということで、吐くときは心を込めて丁寧に行います。「ありがとうございます」と感謝の気持ちで吐くと心がこもります。吸うときは気楽に上体を伸ばすだけで充分です。
 上腹部のユルミと心のこもって呼息によって、副交感神経が活性化しリラックスし「アクマ」が退散します。
 コロナ禍にあって重苦しい世の中ですが、この簡単な呼吸法を実践して、心の余裕を回復して頂きたいと思います。

「おいあくま」

 新聞だったか雑誌だったか、なにに書かれたものかは忘れてしまいましたが、「おいあくま」と題する文章を読んだことがあります。
 「おい! 悪魔‼」と、心を乱す悪魔を叱りつけているのです。
 お・・・「怒る」 い・・・「威張る」 あ・・・「焦る」 く・・・「くさる」 ま・・・「負ける」、ということだったと思います。

 いずれも、心を乱す元凶ともいうべき心の状態ですね。
 調和道丹田呼吸法を創始した藤田霊斎師は、呼吸法の実修の最後に、「反省と感謝」の時間を設けて瞑想するように指導しています。呼吸法によって心を鎮め、高い視点から自分を見つめます。これを霊斎師は「神の反省」と言っています。神の視点に立って反省するということです。
 そのとき、この「おいあくま」というチェックリストはいいですね。この反省が自分の心の実態を深く見つめることになります。その結果として、「あくま」の対極にある「感謝」の心なのです。

 

上虚の重要性

 「上虚下実」の姿勢が、人が動くうえで理にかなっているのは、地球の遠心力と引力のそれぞれに対応しているからだと思います。力みの抜けた上半身(上虚)は遠心力の顕現であり、ドッシリとした下半身(下実)は引力の顕現です。

 引力は重さとして実感できますが、遠心力はハッキリと実感できません。けれども、遠心力の顕現である上虚は、下実に劣らず大切な要件です。
 引力と比べて微細な遠心力を感じるには、デリケートな感性が必要で、そのために上虚であることが大事です。肩や胸など上半身が力んでいると、微細な事象を感じることはできません。
 この感性が、身体に高度のパフォーマンスを現出させます。走る、格闘する、踊る、歌う、楽器を演奏する、絵を描く、書を認める、茶のお点前をするなどなど、そして瞑想をするにも、遠心力を感知する感性は大変需要な要素となるのです。
 ドッシリとした腹の人になるには、遠心力を感じる繊細な感性も重要な要素です。
最新記事
プロフィール

鈴木光彌

Author:鈴木光彌
1943年(昭和18)東京都葛飾区水元に生まれる
法政大学法学部卒
在学中は応援団に所属し、副団長を務めていたが、今も、人々に生きる勇気と喜びを鼓吹する応援団を任じている。、
昭和55年、公益社団法人調和道協会に入会し、丹田呼吸法を学ぶ
以来研鑚を重ね、現在養根塾を主宰して活動中
著書:「丹田湧気法入門」柏樹社(共著)、「丹田を創る呼吸法」BABジャパン、「丹田を創って『腹の人』になる」小学館、「藤田霊斎 丹田呼吸法」佼成出版社

【養根塾】
◇会場: 高輪アンナ会館
東京都港区高輪2-1-13
都営浅草線 泉岳寺駅A2口徒歩5分
◇日時:毎週火 1:00~3:00PM
◇会費:1000円/1回
自由ヶ丘教室 第2・4金 10:30AM
若葉教室 毎週金 6:00PMも併設
お問合せ 090-5405-4763 鈴木
Eメール
mitsuya@wf7.so-net.ne.jp

最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR