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血の循環と宇宙の循環

調和道丹田呼吸法を創始した藤田霊斎師に次の道歌があります。

  純良な血をよく作りよくまわしコリを除くが健康のもと

 健康の基本は、
① 純良な血液を作ること
  純良な血液を作るためには、二酸化炭素を充分に吐き、酸素を豊富に吸い込むことです。、
② 血液をよく循環させること
  血液をよく循環させるためには、腹圧のかかった呼吸、即ち丹田呼吸によって、腹部にたまった静脈血を肺に向かって還    流させることです。
③ コリを除くこと
  ①と②が実現すれば、おのずからコリは除かれます。

 そして、純良な血はサラサラとして循環しやすくなり、循環がよくなることで血は純良になります。「流水は腐らず」のたとえどおり、純良な血がよく循環すればコリは生じません。血はいのちであり、コリはいのちの停滞です。コリこそ不健康になる元凶であるということです。

 こうして得た健康な体によって、宇宙は循環でありいのちは流れであるという宇宙観や生命観を得て、広く深くとらわれのない心を養い、孤立感による不安から解放されます。 
 自分と他はいのちでつながっている、宇宙ともひとつなのだという世界観を持つために、丹田呼吸法は大きなはたらきを発揮します。
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自らの心を調える

 「息」という字は、「自」と「心」から成っています。全くその通りで、息は自らの心と密接に関連しています。恐れは息を弱くします。怒りは息を荒っぽくします。悲しみは息を弱くします。
 息を調えると心も調います。心が調うと心が見えてきます。静かな水面が、周囲の光景を正しく映すように、息で調えられた心は、自分の実像を正しく映し出します。
 「己事究明」といって、本当の自分を明らかにすることを目的とする禅も、息を調えることを重視します。ですから、「調身・調息・調心」という坐禅の基本は、真ん中に調息を置いているのです。

 調息の妙法である丹田呼吸法は、自分を正視する勇気を起こし、澄んだ心を磨きだし、ありのままの自分を映し出して、正しい道へと導く、すぐれた修養法です。

修養のツボ

 真言宗の開祖の空海は万芸の天才と言われています。、橋を架けたり灌漑事業を行ったり学校を開設したり。また詩文に長じ、能筆言えとしても名高く、サンスクリット語も中国語も堪能といった具合です。
 その空海に、次の言葉があります。

 それ気海微(すくな) しと 雖 も 忽 ち満界の雲を起こし、眼精至って小なれども、能く遍虚(へんこ)の物 を照らす。

  ここで「気海」とは丹田とほぼ同意義で、下腹部の一点を指してい ると思われます。気海という下腹部の一点は、 全身から見ればわずかな部 分ですが、ここに気力を込 めれば、満天に雲をわき起 こすほどの力がある、とい うことです。
  また眼精すなわち瞳は、きわめ小さなものなのに、宇宙のあらゆるものごとを見通すことが できる、というのです。
  気海にしても眼精にしても、小さな部分が大きなはたらきをする「ツボ」というものです。 その大切な部分を磨いていくことが大事なのだとい うことです。
 丹田呼吸は、気海あるいは丹田を錬磨するための最良の方法です。それによって、「満界に雲を起こし」、つまり龍が天 に昇って雲を起こすようなパワーが発揮で きる妙法です。ぜひ、実践してください。

微笑生活

  「絶望は愚者の結論である」と、英国ヴィクトリア朝時代の首相ベンジャミン・ディズレーリ(1804~1881)は言いました。
 問題には必ず解決が用意されていることを信じて、何があっても絶望的にならず、いつも楽観的に希望を持って生きていきたいものです。何があっても絶望することを知らない人には、悪運のほうが根気負けして逃げていきます。
 私たちは自分を守ろうとして、重い鎧を着こんで生きているところがあります。悲観というものも、自分を守ろうとして着こむ鎧なのです。その鎧の重さと窮屈さがが、絶望感として感じられるのです。

 藤田霊斎師が、講演や著述の中で、常に力説していたのは、感謝を基本とした微笑生活でした。自我防衛の鎧を脱いで、肩の力を抜き、楽観的に生きていく心構えを持つこと。霊斎師の説いた丹田呼吸法の目的はそこにあったのです。


心を静める

 ヨーガの根本教典である『ヨーガスートラ』は、紀元前2世紀にパタンジャリによって著わされたと言われています。
 ここには「これからヨーガの解説をする」という宣言に始まり、「「ヨーガとは個人意識(心のはたらき)を止滅することである」と定義しています。
 心理、生理、哲学、倫理など、多方面から人間にアプローチするヨーガが、「個人意識(心のはたらき)を止滅することである」という一事に狙いを集約していることに感心します。たしかに、自己の向上を志して修行するとき、心のはたらきを止滅して静めないことには、何事も成し遂げることはできないと思います。

 養根塾は、調身・調息・調心のうちの調息に特化して、自己を調えていくことを目指していますが、やはり心のはたらきの止滅、つまり心を静めることが基盤になります。
 白隠禅師が内観の法を説いた「夜船閑話(やせんかんな)」の序は「月高くして城影尽く」と、古人の句で結んでいます。「高く澄んだ心になると、影は消えてしまう」ということで、ヨーガの定義と同様なことを言っています。

 「意馬心猿」という言葉があるように、心というものは、暴れ馬やいたずら猿のように落ち着かないのが特性のようです。
 この心を静めることこそ、修行の原点であることを肝に銘じて、丹田呼吸に励みたいものです。

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プロフィール

鈴木光彌

Author:鈴木光彌
1943年(昭和18)東京都葛飾区水元に生まれる
法政大学法学部卒
在学中は応援団に所属し、副団長を務めていたが、今も、人々に生きる勇気と喜びを鼓吹する応援団を任じている。、
昭和55年、公益社団法人調和道協会に入会し、丹田呼吸法を学ぶ
以来研鑚を重ね、現在養根塾を主宰して活動中
著書:「丹田湧気法入門」柏樹社(共著)、「丹田を創る呼吸法」BABジャパン、「丹田を創って『腹の人』になる」小学館、「藤田霊斎 丹田呼吸法」佼成出版社

【養根塾】
◇会場: 高輪アンナ会館
東京都港区高輪2-1-13
都営浅草線 泉岳寺駅A2口徒歩5分
◇日時:毎週火 1:00~3:00PM
◇会費:1000円/1回
自由ヶ丘教室 第2・4金 10:30AM
若葉教室 毎週金 6:00PMも併設
お問合せ 090-5405-4763 鈴木
Eメール
mitsuya@wf7.so-net.ne.jp

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