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おのれこそおのれの寄る辺

 「法句経(ダンマパダ)」は、お釈迦様の言葉を詩の形で表した経典です。その中で有名なのが次の誦句です(「友松円諦訳)。

おのれこそ
おのれのよるべ
おのれを措(お)きて
誰によるべぞ
よくととのえし
おのれにこそ
まことえがたき
よるべをぞ獲(え)ん


 人生を正しく歩むためには、何よりも自分を寄る辺としなければなりません。そして、自分を寄る辺とするには、自分をよく調えておくことです。
 よく調えるとは、本当の自分を知ることが第一です。それだから知の巨人ソクラテスが、「汝自身を知れ」という言葉を座右の銘にしたのでしょう。
 自分の真実を知れば、迷いの大半はなくなります。心の葛藤の多くは、真実でない自分をでっちあげ、そのでっち上げの自分を保持するために、いつも心を脅かしているからです。
 でっち上げの自分を見定めて、真実の自分を知ることは勇気がいります。その勇気を奮い起こすのは肚の力です。ここでも丹田呼吸は、大きな力を発揮します。、

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ほほえみの種まき

 お釈迦様を加えて過去七人の仏が、「あらゆる悪いことをしてはいけない。善いことは一所懸命やりなさい。自らその心を浄くする。これが仏の教えである」とい説いたということです。『七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)』と言われます。
 それは「悪いことをするな。善いことを行え」というものです。きわめて当たり前の教えですが、悪いこととは何か? 良いこととは何か? と改めて考え出すと難しい問題になってきます。

 戦後間もないころ、東京浅草の近くで「アリの街」という「バタヤ部落」で救済活動をしていた松居桃樓(とうる)さんは、思い切ってこの言葉を次のようにわかりやすく解釈しました。「悪いことをするな」を「一粒でも播くまい、ほほえめなくなる種は」と、そして「「善いことを行え」を「小さくても大事に育てよう、ほほえみの芽は」。
 ほほえめなくなる種をまくことほど悪いことはない。ほほえみの芽を育てることほど善いことはない。一見とっぴでもないような解釈ですが、じっくり考えてみると、なるほどなーと納得できます。
 ほほえみは、感謝しているとき、相手を好意的に見ているとき、高い視点から自分を洞察しているときなど、肯定的な心境のときに表れる表情です。
 ほほえもうとして顔をゆるめようとすると、かえって表情が硬くなってしまいます。これを、みぞおちあたりをゆるめると、自然に頬やや口元がやわらいできて、自然なほほえみが浮かんできます。
 これも丹田呼吸の偉大なる効用です。
 


 

神仏と一つになる呼吸

 仙人のような生活を送った宮崎童安(明治21〈1888〉~昭和38〈1963〉)は、次のように言っています。

 この息は神仏そのもののいのちである。この息によって身は神仏とひとつに結びついている。
               
 宮崎童安は、野の思想家と言われた詩人であり童話作家でした。クリスチャンである童安が、「神仏」という言葉を使っているところに、一宗一派にとらわれない彼の普遍的な考え方が表れています。

 私たちは誰に習うでもなく息をしています。息ができるおかげでいのちを支えていることができます。息はいのちそのものです。まさに、「息は神仏そのもののいのち」です。そして、吐く息吸う息によって、「神仏とひとつに結びついている」のです。

 神仏の交流であることをしっかりと心にとめて息をすることが、丹田呼吸法であり、マインドフルネス呼吸法なのです。

祓いの思想

 神道の行事として、6月と12月に大祓(おおはらえ)の行事があります。1年の中間と終わりにあたって、自分の実態を顧みてそのケガレを祓うという、非常に意味のある行事です。
 その時に読まれる「大祓の詞(ことば)は次の通りです。

息吹戸(いぶきど)に坐(ま)す息吹戸主という神、根の国・底の国に息吹放ちてむ。斯(か)く息吹放ちてば、根の国・底の国に坐す速流離姫(はやさすらひめ)という神、持ち流離(さすら)い失いてむ。
(息を吹く所にいらっしゃる息吹戸主という神様が、地下にある死後の世界を、息を吹いて吹き飛ばすでしょう。こうして息で吹き飛ばせば、その地下の国にいらっしゃる速さすら姫という神様がさすらって出てきて、その罪穢れがなくなってしまいます。)

 息吹戸主という神様は、その息吹によって、罪や穢れを吹き払う力を持っています。まさに呼吸の神様と言えます。
 昔から、呼吸が罪や穢れを祓い清める力を持ったものとして考えられていたことは興味深いことです。呼吸に心を込めた調和道丹田呼吸法を実修して見ると、昔の人の直感の正しいことが実感できます。実修が終ったあとのあの清々しさは、諸々のけがれが吹き飛ばされた感じがします。

根っこの魂

  坂村真民(1909~2006)さんは、野鳥が目覚め、宇宙の霊気が一番生き生きとしているという午前3時36分に、自宅を出て長い時間お祈りを捧げていたということです。
 その全身全霊を挙げた祈りならば、真民さんの代表作である「念ずれば花ひらく」ことは本当のことだと思えてきます。この「念ずれば花ひらく」の詩碑は、国能力内外500か所以上で石碑に刻まれているということも、真民さんの祈りのパワーを実感させてくれます。

 真民さんには「気海丹田」という詩があり、私の応援歌になっていますが、次の「タンポポ魂」という詩も、養根塾の心をそのまま表してくれていて大好きな詩です。

「タンポポ魂」
踏みにじられても
食いちぎられても
死にもしない
枯れもしない
その根強さ
そしてつねに
太陽に向かって咲く
その明るさ
わたしはそれを
私の魂とする


 調和道丹田呼吸を実践していると、タンポポの根の力強さと、つねに太陽に向かって咲く花の明るさが、身体中にあふれてくるのを感じます。

 令和元年も師走となりました。寒さに向かっている今もタンポポは、春にそなえて根っこを目に見えない土の中に深く深く伸ばす努力をし続けていることでしょう。
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プロフィール

鈴木光彌

Author:鈴木光彌
1943年(昭和18)東京都葛飾区水元に生まれる
法政大学法学部卒
在学中は応援団に所属し、副団長を務めていたが、今も、人々に生きる勇気と喜びを鼓吹する応援団を任じている。、
昭和55年、公益社団法人調和道協会に入会し、丹田呼吸法を学ぶ
以来研鑚を重ね、現在養根塾を主宰して活動中
著書:「丹田湧気法入門」柏樹社(共著)、「丹田を創る呼吸法」BABジャパン、「丹田を創って『腹の人』になる」小学館、「藤田霊斎 丹田呼吸法」佼成出版社

【養根塾】
◇会場: 高輪アンナ会館
東京都港区高輪2-1-13
都営浅草線 泉岳寺駅A2口徒歩5分
◇日時:毎週火 1:00~3:00PM
◇会費:1000円/1回
自由ヶ丘教室 第2・4金 10:30AM
若葉教室 毎週金 6:00PMも併設
お問合せ 090-5405-4763 鈴木
Eメール
mitsuya@wf7.so-net.ne.jp

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