FC2ブログ

心と体は本来一つ

  観念だけでは、心と躰(からだ)の真の統一は不可能である。
  されば真の統一は、肉体に座を持つことによって初めて可能である。
                          森  信 三(1896(明治29)~1992(平成4)


 上の文章は、『森信三 一日一語』より引用したものです。本書の編纂者である寺田一清さん(森先生の弟子)は、次のように注を付しています。

 これが「心身相即」の理と言われるもので、「肉体に座を持つ」とは、一つには立腰であり、いま一つは臍下丹田と言われるものです。

 心と体は、本来一つのものですが、現状は別々にはたらかせてしまうのが常です。心ここに在らざれば、見えども見えず、聞けども聞こえず、というのは、そのために起こることです。
 身心を統一させるためには、体に統一点を作ることです。その統一点こそ臍下丹田にあります。臍下丹田に重心を落とし、心もそこに鎮めるように努めるのです。そのとき、臍下丹田とは表裏にあたる腰を立てる事が必要です。
 身心を統一することを、観念で実現することは難しいことです。この現象界に生きる我々にとって認識しやすい肉体に座を持つことのほうが容易なのです。
 
スポンサーサイト



肚の人イエス

 「調和道」と称して丹田呼吸法を伝えた藤田霊斎は、次の道歌を残しています。

  活ける泉腹より湧くと説きなせる
         聖キリストの教え尊とし


 これは、聖書の次の言葉から作られています。
 「渇いているいる人はだれでも、私のところに来て飲みなさい。私を信じる人は、その肚から生ける水が川となって流れ出るようになる(ヨハネ福音書7.38)。」

 藤田霊斎は真言宗智山派の僧侶でしたが、その著述の中に多く聖書から引用しています。「生命の水が肚から流れ出ている」と、イエスが言っているところが素晴らしいですね。
 
 「いのちの実在をまるごと受け容れるのは、腹(肚)なのだ」とする古人の直感を見直してみたいものです。
 

エネルギーとしての自分

 サザン・オールスターズの桑田佳祐は歌います。

  この世の中を形作るのは
  精神なのか物質なのか
  アインシュタインに聞いてみな
  E=MC²(エナジーイコールエムシースクウェア) 


 自分の身体は、皮膚に包まれた固体と見るかエネルギーと見るかで、身体感が大きく違ってきます。
 身体を固体と見ると、機械的で固く制限されたものとして感じられ、宇宙観まで狭くしてしまいます。一方エネルギーと見ると、柔軟で自在で温かなものに感じられ、宇宙観は無限の完全なすがたととらえられるようになります。
 同じエネルギーも生命エネルギーとして見ると、躍動的で自在な存在と感じられ、さらに愛のエネルギーとして見ると、柔らかい温かな存在として感じられてきます。

 調和道丹田呼吸法の創始者である藤田霊斎師は、丹田呼吸によって「健康・剛勇・叡智・至誠」という人間の四つの徳性が顕現されるといっています。丹田呼吸の実践は、エネルギーとしての身体感覚を磨いてくれるからです。

お謡と丹田呼吸

 観世流能楽の中興の祖といわれた、第9世観世黒雪(1566~1626)は、観世流謡曲の極意を和歌の形で残しています。

わが宿は菊を籬(まがき)に露敷きて 
月にうたふる瓢箪(ひょうたん)の声


 黒雪7は幼少から徳川家康につかえ、秀忠にも能を指導した人物です。
 観世流のお家芸(わが宿)は、菊の垣根のように美しくて強く、露のようなうるおいをもたせ、ひょうたんのように腹をふくらませ、八分目に謡え、ということを教えているのです。
 また、観世流で使用する見台(謡本を置く台)には、左側には二分欠けの月が、右側にはひょうたんが透かし彫りにしてあって、黒雪の和歌の下の句が反映されています。
 見台にまで、謡うときの呼吸の仕方が表わされているところが、大変興味深くいですね。
 ひょうたんのような、すなわち、上虚下実の腹で、いきまないように漏気(八分の月)に心して謡え、ということです。見台が丹田呼吸法を教えているのです。
 ひさご腹の重要さを説く点で白隠禅師とまったく同じですが、黒雪の方が白隠(1685~1768)より年代的に先輩ですから、黒雪オリジナルの見解ということができます。
 このことから丹田呼吸法が、広い分野で活用されていることがわかります
プロフィール

鈴木光彌

Author:鈴木光彌
1943年(昭和18)東京都葛飾区水元に生まれる
法政大学法学部卒
在学中は応援団に所属し、副団長を務める
今も、人々に生きる勇気と喜びを鼓吹する応援団を任じている
昭和55年、公益社団法人調和道協会に入会し、丹田呼吸法を学ぶ
以来研鑚を重ね、現在養根塾を主宰して活動中
著書:「丹田湧気法入門」柏樹社(共著)、「丹田を創る呼吸法」BABジャパン、「丹田を創って『腹の人』になる」小学館、「藤田霊斎 丹田呼吸法」佼成出版社

【養根塾】
◇会場: 高輪アンナ会館
東京都港区高輪2-1-13
都営浅草線 泉岳寺駅A2口徒歩5分
◇日時:毎週火 1:00~3:00PM
◇会費:1000円/1回
自由ヶ丘教室 第2・4金 10:30AM
若葉教室 毎週金 6:00PMも併設
お問合せ 090-5405-4763 鈴木
Eメール
mitsuya@wf7.so-net.ne.jp

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR